高齢者の薬の管理の問題――家族が気づいておきたい視点
高齢となった親が何種類のお薬を飲んでいるか、把握されているでしょうか。
帰省やちょっとした会話の中で、「薬が多くて覚えきれない」「どれを飲んだか忘れる」といった声を耳にした方もいるかもしれません。薬は健康を支える大切なものですが、管理が難しくなると、かえって健康を損なうリスクにつながってしまいます。
今回は「高齢者の薬の管理の問題」について、家族が気づいておきたいポイントや対応の工夫をまとめます。
薬の管理で起こりやすいトラブル
高齢者が薬を正しく服用できない背景には、いくつかの典型的な問題があります。
- 飲み忘れ
毎食後や寝る前など決まった時間に服用することが難しく、つい忘れてしまう。 - 重複服薬
「飲んだかどうか忘れてしまい、もう一度飲んでしまう」というケース。 - 複雑さによる混乱
複数の病院にかかっている場合、薬の種類や用法が増えて混乱しやすくなる。 - 視覚や手先の不自由さ
小さな文字が読みにくい、錠剤が取り出しにくいといった身体的な要因も見逃せません。
こうしたトラブルは、誤った服薬につながり、体調悪化や副作用のリスクを高めてしまいます。
家族ができるチェックポイント
お薬の管理状況を確認するには、日常の中でちょっとした視点を持つことが大切です。
- 薬の保管場所を見てみる
袋や箱にバラバラに置かれていないか、飲み残しが溜まっていないかを確認します。 - 服薬の習慣を聞いてみる
「いつ飲んでるの?」「この薬はどうやって飲んでる?」と会話の中で探ると、本人の理解度が分かります。 - 薬の数を数える
予定通りの日数で減っているかを見れば、飲み忘れや重複がないかが推測できます。
解決のための工夫
ピルケースや服薬カレンダーの活用
「朝・昼・夜」と分けてセットできるピルケースや、1週間単位で管理できるカレンダー式のケースはとても有効です。
薬局や医師への相談
「お薬手帳」を活用し、薬剤師に一元的に管理してもらうのも大切です。重複処方や飲み合わせの確認もできます。
家族の声かけや見守り
電話やLINEで「薬飲んだ?」と声をかけるだけでも効果があります。訪問サービスを利用すれば、第三者が確認してくれる安心感も生まれます。
「迷惑をかけたくない」気持ちへの配慮
高齢の親世代は、「子どもに心配をかけたくない」と思うあまり、不安やトラブルを隠してしまうことがあります。薬の管理も例外ではありません。
大切なのは「管理できているかどうか」を責めずに、自然な会話の中で様子を探ることです。
「これって私でも覚えるの大変そうだな」
「一緒に工夫できる方法を考えようか」
といった声かけが、本人のプライドを守りながらサポートする第一歩になります。
まとめ
高齢者の薬の管理は、健康に直結する大切な課題です。
- 薬の飲み忘れや重複はよくあること
- 家族が気づけるチェックポイントがある
- ピルケースや薬局のサポートを活用できる
- 本人の気持ちを尊重しながら声をかけることが大切
こうした工夫を積み重ねることで、日々の安心と安全を守ることができます。
「高齢者の暮らしを、さりげなく、でも確実に支える」――それが、家族や地域の役割です。薬の管理をきっかけに、親の暮らし全体を見守る視点を持ってみてください。
