帰省後に考えたい、親の「助けて」が言えない問題
お盆帰りから初の週末を迎え、家族で話し合う時間を取っているご家庭も多いのではないでしょうか。
久しぶりに親の暮らしぶりを目にして安心した方もいれば、逆に「ちょっと元気がないな」「掃除や食事が前より大変そうだな」と気づいた方もいるかもしれません。
しかし親御さん自身は「大丈夫」「まだまだ自分でできる」と言って、弱音を吐かないことが多いものです。
今日は、「親がSOSを出さないことへの不安」をテーマに、その背景と対策について考えてみたいと思います。
なぜ親はSOSを出さないのか
1. 「迷惑をかけたくない」という気持ち
高齢になると体力や判断力が少しずつ低下しますが、多くの方が「子どもに負担をかけたくない」と思っています。
特に、離れて暮らす子どもに心配をかけまいと、多少の不調や困りごとを隠す傾向が強まります。
2. プライドと自立心
長年、家族を支えてきた立場だからこそ、「まだまだ大丈夫」「自分のことは自分でできる」という意識が強い方もいます。弱さを見せることが、プライドを傷つけることもあるのです。
3. 小さな不調を「我慢」してしまう
痛みや不便を感じても、「これくらい大したことない」と思い込んでしまい、結果的に症状や問題が悪化してから発覚するケースも少なくありません。
SOSが出ないことで起こるリスク
病気の早期発見が遅れる
体調不良を隠していたことで、病気の発見が遅れ、治療が難しくなるケースがあります。
生活の安全リスクが増す
転倒しやすい環境を改善せずに暮らし続けてしまうと、大きな事故につながる危険があります。
孤独や心の不調を見逃す
体のことだけでなく、寂しさや孤独感を抱えていても口に出さないことがあります。その結果、心の健康を損なうことにもつながります。
親の「SOS」を見逃さないための工夫
1. 言葉より「生活の様子」を観察する
- 掃除や片付けが行き届かなくなっていないか
- 冷蔵庫の中身が少なすぎないか、古い食材が残っていないか
- 洋服の洗濯や身だしなみに変化がないか
こうした小さな変化が、SOSのサインであることがあります。
2. 定期的な会話を習慣にする
電話やオンライン通話で、できるだけ表情や声色を感じ取れるようにしましょう。メールやLINEだけでは伝わらない変化もあります。
3. 「頼っていいんだよ」と伝える
親が「迷惑をかけたくない」と思っている場合、「お願いされると嬉しい」「一緒に考えたい」といった気持ちを伝えることが大切です。子どもが負担に感じていないとわかれば、少しずつ相談してくれるようになります。
4. 第三者のサポートを取り入れる
家族には言えなくても、第三者には頼みやすい場合があります。
訪問サポートや地域の見守りサービスなどを利用することで、親の暮らしをさりげなく支えることができます。
「問題が大きくなってから」ではなく「小さな気づき」を大切に
親がSOSを出さないのは「強さ」や「優しさ」でもありますが、その裏には不安や無理も隠れています。
問題が大きくなってからでは、家族の負担も親の負担も重くなってしまいます。
だからこそ、日々の小さなサインに気づくことが何より大切です。
- 「ちょっと散らかってきたな」
- 「声が以前より元気がないな」
- 「同じ話が増えたな」
こうした変化を「たいしたことない」と流さず、会話の中で自然に触れてみましょう。
ライフブリッヂアイスタッフの御用聞きとしてできること
私たちの訪問サポートでは、掃除や買い物の代行、電球交換など日常のちょっとした困りごとをお手伝いしています。
その中で、親御さんが口にしない不安や困りごとをスタッフが気づくこともあります。
「子どもには言えないけど、スタッフには話せる」――そんな安心の場をつくることが、私たちの役割です。
まとめ
親がSOSを出さないのは「迷惑をかけたくない」という思いや、自立心、プライドからくるものです。
しかし、小さなサインを見逃さずに寄り添うことで、大きな問題を未然に防ぐことができます。
帰省後の今こそ、親の生活や気持ちを振り返り、「声にならないSOS」をどう支えていけるかを考えるタイミングです。
あなたのちょっとした気づきが、親の安心につながります。
